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iPS

ネーミングが時流に乗っていた、というのもあるかもしれませんが、ものすごく進展が早いですね、iPS cell(induced Pluripotent Stem cell:多能性幹細胞)。普通ならIPSとしたくなるところを、あえて小文字のiPSにしたところに山中教授のセンスを感じます(良いか悪いかは別として笑)。

ここまでの時系列:

2006年8月:京都大学、山中教授らの研究グループが、iPS細胞の樹立をCellに発表。マウスの皮膚の細胞から、全身の臓器に分化可能な幹細胞を作製した、ということで、ものすごい注目を集める。しかし、この時点では、作成にがん遺伝子を使っていたので、実用面には問題が残る。

2007年7月:同グループから、iPS細胞を用いてクローンマウスを作製することに成功した、との報告がNatureにでる。これは、まぎれもなくiPS細胞が全身のすべての細胞に分化可能であることを実証している。

2007年11月:同グループから、ヒトの皮膚細胞を用いて、iPS細胞を作製することに成功した、との報告がCellにでる。ヒトでも可能、ということで、大変注目を集める。

2007年11月:同グループから、がん遺伝子を用いずにiPS細胞を作製する方法がNature Biotechnologyに報告される。

2007年11月:アメリカ、ウィスコンシン大学のグループから、ヒトの体細胞を用いて、iPS細胞を作製することに成功した、との報告がScienceにでる。

2007年12月:アメリカ、マサチューセッツ工科大学のグループから、iPS細胞を用いて、貧血マウスの治療に成功したとの報告がScienceにでる。すでに、応用面では敗色濃厚のオールジャパン。


キリスト教のアメリカでは、胚性幹細胞(ES細胞)の研究には公的な研究費を出さない、ということになっていて、代替法であるiPS細胞の研究が怒涛のごとく進んでいる模様。ブッシュ大統領も猛プッシュ。

一方、オリジナルの日本は、『オールジャパンで「万能細胞」研究、京大に拠点整備へ』(読売オンライン)とかいってます。アメリカではいろいろな大学がしのぎを削るなか、日本は国内の知能を寄せ集めて、なんとかアメリカを振り切ろう、という作戦らしいです。

まぁ、がんばってほしいんですが、東大の影が薄いのがさみしいです…。あと、ノーベル賞確実といわれる山中教授の健康対策を早めにやったほうがいいのかな、と思います笑 生きてないと取れないからね、ノーベル賞。

by genta_ito | 2007-12-14 20:30 | 日記

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